30話 『優しいメッセージ』

そうだ、晩ご飯のオカズ…。
習慣ていうのは凄いものだ。どんなに落ち込んでいても、日常の、こなさなければいけないことはすぐに思い出すようにできている。

頭に、冷蔵庫の中の絵が浮かぶ。
昨日の残りのタマネギがある。
たしか豚肉も冷凍していた。
そうだ、パイナップルを買って酢豚にしよう。
龍太の大好物だ。

一品だと寂しいから、甲府のお祖母ちゃんから教わった、ほうとう風の味噌汁を作ろう。
今日は金曜だから、スーパーのポイントが倍の日だ。

買い物袋を手にさげて、少し遠回りだけど、荒川の土手を歩いた。
肩にかけたカバンのストラップが、いつになく重く感じられた。
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29話 『親友のママ』

夕方になって、久しぶりに涼しい風が吹いた。
こうやって少しづつ秋になっていくんだってことを、なんだか感じさせてくれる風だった。

荒川の河川敷
鉄橋のそばに、夏の暑さで枯れた葦の草原がある。
その中にマットレスが転がっているのを見つけたのは偶然だった。
ホームレスがどっからか引っ張ってきたんだと思う。

俺と裕子は、キャンプで使うビニールシートを買ってきて、それを敷いた上でエッチをするようになった。
誰かが来たらすぐに逃げられるように、俺はチャックを下げてチ×ポだけを出して、裕子はパンツを脱いでスカートをまくるだけ。
夕陽にオ××コが丸見えになって、そこに俺のチ×ポがムニュッて入ってくのがこれまた丸見えで、俺たちは、二人がつながっているのを観察しながら、夢中で腰を使った。
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28話 『孤独のローター』

せっかく買った、もう愛着さえ今では感じるこのローターを、私は捨てようと思った。

テレビ局の、清潔だが、どこか無機質な女子トイレの個室。
私は太ももを開いたまま、私の愛液で濡れ、触れると少し粘っているリップスティックタイプのローターを握りしめて、一人、そんなことを思った。

ストッキングとパンティは、右の足首で小さく丸まっている。
水圧を強にして、意味もなく、アナルに温水を吹きつけている。

恥丘の小さなヘアが、汗で肌にはりついている。
クリトリスは花弁の奥に埋まってしまったけれど、ローターの刺激の余韻に、まだ腰全体に甘い感覚が波のように打ち寄せては引いている。
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27話 『母子家庭の彼女』

「そのお洒落なローターはね、女にとって、半分は本物のリップスティックと同じ意味なの。ただのローターじゃないのよ」
ベテランソープ嬢であり、客というよりは、友人に近い存在の皐月さんの言葉を、俺は夜明けの浅草を歩きながら、何度も咬みしめていた。

半分は本物のリップスティック。そういえば君枝は、あんまり化粧をしなくなった。
「こんな私、嫌いにならないでね。仕事も忙しいし、龍太の三者面談やら保護者会で、ちょっと女ってことを忘れてるから」
女ってことを忘れてるって言って、ちょっと寂しそうに笑った君枝。

恋人であるはずの俺は収入も不安定で、アルバイトと舞台の半々の浮き草暮らし。
だけど、俺も君枝も、お互いを求めていることには間違いがない。
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26話 『トイレでローターを使う意味』

「では、サブキャラの流れは、そんな感じで。どれくらいかかりますか?」
プロットはそれほど大きな修正はなく、私のアイデアが通った。

「はい、それでは、来週の水曜日までには、修正した原稿を送ります」
「楽しみにしています」

このプロデューサーはベテランで、ちょっと面倒な人っていう噂を聞いていたけれど、実際に会って打ち合わせをしてみると、思ったよりも仕事がしやすい。
脚本家とプロデューサーっていうのは、思考だけじゃなく、相性もあるんだとあらためて感じさせられた。
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25話 『ママのことを真剣に考えた』

メールで裕子を呼び出した。駅前のファミレス
まわりに客がいないトイレのそばのテーブルで向き合って、これまでのことを聞いてもらった。
ママのこと、ママが電マを捨てたこと。

「電マってどんなの? 気持ちいいの?」
裕子には、そこから説明するはめになったけれど、わざわざ相談に乗ってくれてるわけだから、ちゃんと電マについても話した。

それから諭さんていうママの彼氏のこと。
俺に気を使って、午前中の早い時間にエッチしていること。
そして、ママがトイレや、諭さんと使ってるリップスティックタイプのローターのこと。
ママがひどく諭さんを怒ったこと。
そして、俺自身、ママのポーチにそんなものが入っていることにショックを受けていることやなんかみんな…。
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24話 『リップスティックの意味』

ソープランドの個室で、俺、初めてローターを買った。
それは君枝がネットで買ったようなお洒落なリップスティックタイプじゃなくて、昔からあるピンク色の小さな卵から電線が伸びていて、スイッチと電池ケースがくっついているやつだ。

皐月さんはベテランのソープ嬢だし、そういうアダルトグッズを自販機で買って、ソープ嬢に試す客にも慣れているせいか、強く振動するピンクの卵を膣に親指で押しこむと、自分で垂れ乳に指を食い込ませて揉みながら悶えまくった。
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23話 『女の感覚』

「諭ちゃん、久しぶりね。今日はどんなシチュエーションごっこしようか」

吉原年齢、つまりホームページや風俗雑誌に載る皐月さんの年齢は二十九歳。
写真は加工するからそれでもなんとかごまかしがきく。

けれど俺は三年ごしの馴染み客だし、免許証も見せてもらったことがあるから本当の年齢を知っている。

皐月さんは四十七歳。
それでもこの『タジマハール』の早朝出勤のソープ嬢で一番の人気なのは、皐月さんが元AV女優で、熟女物の人気シリーズに出演していたからだ。
俺もそれがきっかけで皐月さんの客になった。
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22話 『入れる物とハメる物』

始発電車に乗って、明るく白んだ都心を浅草に向かいながら、俺は、俺と君枝の関係を考えた。

君枝って女はきつい性格で、怒りっぽい。
おまけに脚本家っていう商売柄か、締め切りに追われると、ささいなことで俺に咬みついてくる。
こっちは売れない役者だし立場も微妙だ。

これまで、何度、喧嘩して別れ話をしたか数えるのも飽きてしまった。
なのに今もつきあっているし、セックスは会った頃よりよくなっている。

「女はね、大きけりゃいいってもんじゃないの」
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21話 『ローターを持つ女』

こんなことなら、君枝から相談されたときに、ちゃんとやめさせるべきだった。
駅のホームで始発電車を待ちながら、俺はそんなことを思いながら、気の抜けた缶ビールをゆっくり飲んだ。

ジーパンの、そのまたトランクスの中、萎えきった俺のチ×ポは、まだ君枝の唾でふやけ、湿っている。
エッチの後、俺はいつもシャワーを浴びないで帰る。体中に君枝の唾や歯形、愛液がこびりついている感じが好きだからだ。

やっぱり惚れているのかな。

つい1時間前の、君枝のフェラは最高だった。
いつもよりねちっこく、唇と舌と前歯を使って、あらゆるテクニックで攻めてくれた。
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