そのほうが売れる 27

学校が始まってまず美耶が思ったのは、なにかを自覚しても生活はさほど変わらないな、ということだった。

己の性癖を自覚しても、己の背徳心を自覚しても、友達はそんなこと知らないし美耶だって始終それを考えているわけでもない。

なにより進路のために考えることが多くて、あの日に爆発した恋心は段々と静まっていった。
もちろん、それはいつだって心の奥底で燻り続けているわけだが。

就職か進学か、そもそもそこから派生した悩みは、いまは一応就職と言う形で落ち着いている。
なんとなく憂鬱になりながら毎日を過ごしていたときに、偶然見かけたのが出版社の原稿募集だった。

作家になりたいと思っていたわけではない。
けれどこのまま特になにも考えず、流されるように進んでいくのも嫌だった。

少女特有の感傷のようなものが美耶の胸にわだかまっていたのは間違いない。
それで、まあ駄目もとだよね、と送ってみた。
そしてそんなことも忘れかけていた二ヵ月後、この松元という男からメールが来たのである。
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天使の艶笑 15

パソコンを立ち上げる。高校入学のときに買ってもらった愛機には、一般でよく使われているワープロソフトが入っていた。

「私はあの日、運命の人に出会った」

打ち込んで、やっぱりすぐ消した。
私らしくない。
私なら、きっとこう言う。

「例えば運命の人というものがいるとして」

まず美耶が行ったのは、雛子に対する徹底的な陵辱だった。

父親のいない夜を狙い、そっと寝室に忍び込む。
瑛一郎は今日から出張で、三日は戻らない。

美耶は口元に笑みを刻む。三日あれば十分だ。
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