27.あさはかな決断

初めての恋は、激しい恋だった。

最初、この想いは勘違いだと思った。

でも、違った。
勘違いなんかじゃなかった。

雛子のことが、好きだった。

女同士の恋愛なんて
許されないと思っていた。

実際、世間はいまでも同性愛に易しくはない。

だから美耶は告げられなかった。

あるいは、それが
普通の世の中であったとしても、
告げることは叶わなかっただろう。

彼女が、
美耶の継母という地位に納まった時点で。
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21.少女の話

【少女には母親がなかった。
父親と二人、裕福でもなく、
貧乏でもなく、
ごくごく普通に暮らしていた。】

物語は、「少女」の生い立ちから始まっていた。

幼い時分に母親を亡くし、
父親に男手ひとつで育てられたこと。

八分の三が日本人でないという事実、

一人だけ毛色の違う子ども時代は
随分酷く苛められたということ。
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そのほうが売れる 27

学校が始まってまず美耶が思ったのは、なにかを自覚しても生活はさほど変わらないな、ということだった。

己の性癖を自覚しても、己の背徳心を自覚しても、友達はそんなこと知らないし美耶だって始終それを考えているわけでもない。

なにより進路のために考えることが多くて、あの日に爆発した恋心は段々と静まっていった。
もちろん、それはいつだって心の奥底で燻り続けているわけだが。

就職か進学か、そもそもそこから派生した悩みは、いまは一応就職と言う形で落ち着いている。
なんとなく憂鬱になりながら毎日を過ごしていたときに、偶然見かけたのが出版社の原稿募集だった。

作家になりたいと思っていたわけではない。
けれどこのまま特になにも考えず、流されるように進んでいくのも嫌だった。

少女特有の感傷のようなものが美耶の胸にわだかまっていたのは間違いない。
それで、まあ駄目もとだよね、と送ってみた。
そしてそんなことも忘れかけていた二ヵ月後、この松元という男からメールが来たのである。
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