1.恋の寿命

恋とは多種多様なもので、多少冷めてもすぐに再燃する恋もあれば、一度冷め始めるとどうしてももとの熱を取り戻せない恋もある。より深い愛に変化する恋もあれば、憎しみへとシフトする恋もある。

一説によれば、恋の寿命は三年なんだとか。

つまり三年以内に同じ人にまたに落ちれば関係は続くし、落ちなければそこまでだ。

もちろん全部が全部そうというわけでもあるまいが、日菜子の考えるところによると、それは結構当たっているのかも。
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天使の艶笑 15

パソコンを立ち上げる。高校入学のときに買ってもらった愛機には、一般でよく使われているワープロソフトが入っていた。

「私はあの日、運命の人に出会った」

打ち込んで、やっぱりすぐ消した。
私らしくない。
私なら、きっとこう言う。

「例えば運命の人というものがいるとして」

まず美耶が行ったのは、雛子に対する徹底的な陵辱だった。

父親のいない夜を狙い、そっと寝室に忍び込む。
瑛一郎は今日から出張で、三日は戻らない。

美耶は口元に笑みを刻む。三日あれば十分だ。
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恋って不思議 8

目覚めた美耶は、雛子の帰りを途中まで送って行くことにした。まだ時間もさほど遅くはなかったし、雛子と一緒にいたかった。近所のコンビニへ行きたいと言えば父親は用意に許可をくれた。
寒空の下、吐き出す息は白い。唐突に、美耶は雛子が自分を呼んだことに気付いた。風に紛れて、ほんの小さな声で。

「雛子さん?」

呼べば、雛子は美耶に向き合う。マフラーに埋まった口元は見えない。肌は真っ白で、頬はまだ赤い。涙目で、いいや、涙を流しながら、雛子は囁いた。 “恋って不思議 8” の続きを読む