19.女と母

あらかた箱根観光も済ませ、
後はのんびり帰るだけとなった三日目は、
朝から雨だった。

一日目の夜から二日目の明け方にかけて
降ったらしいにわか雨とは違う、
しとしとと降り続ける水滴は、
絹糸のような細さでもって箱根の山々を煙らせた。

それを眺めながら、
日菜子はぼんやりと息を吐く。

部屋の中には日菜子しかいない。

美耶は大風呂へ行ってしまった。

チェックアウトまで時間があったので、
もう一度箱根を楽しもうという魂胆なのだ。
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虚偽の涙 17

「んんっ! だめ、みやちゃん、やめてっ」
シャツ越しに乳首を刺激されて、雛子が頭を打ち振るう。

そんなに嫌ならもっと暴れればいい。
足も縛られているとはいえ、固定されていないのだから全力で抗えば小娘一人どうとでも出来るだろうに、それをしないのが雛子の甘さだ。

あるいは、期待でもしているのだろうか。
そうだったら楽しいのに。
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