おそらく、生涯 7

手に持っていた袋の中身はこの間教室で教えていたものと同じシュトレンローストビーフで、それが絶品だということを知っている美耶は飛び跳ねて喜びを表す。まったくもって子どものようだと自覚はあったものの、はしゃぐ心を抑えきれない。もちろん、食べ物よりも雛子の存在に、だ。

「いらっしゃい、安賀多さん。せまっ苦しいところですが、どうぞお座りください」

瑛一郎の言い草に雛子が笑った。十二畳のリビングダイニングの隣は六畳の和室で、今夜の会場はまさにそこなのであった。 “おそらく、生涯 7” の続きを読む

その話はまた今度 5

教室が終わり、後片付けまでをすっかり終わらせると、美耶の仕事はおしまいだ。
いつもならばこの時間にはもうそろそろ眠る準備をしている雛子は、週に一回ある料理教室、つまり休み前の残業に眠たそうにあくびした。

「雛子さん、眠い?」

「そうだねえ……少し」

「寝ててもいいよ」
年下女子の言葉に、ベリーショートはカラカラと笑う。
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