15.声がとける

furuetenemure15五月の夜気は、まだそれなりに冷たさを帯びている。
そこに湯気が昇って、ふいに霧散した。

代わりに残ったのは、日菜子のあえかな息づかいだけ。

「ん、んんっ」

「っ、は」

「みや、ぁ」

「ひなちゃん、ひな、かわいい」

日菜子の体を湯船の淵に押さえつけ、
大きな子どものように、
美耶は豊満な乳房にむしゃぶりつく。

無垢な子どもと違うのは、その行為が明らかに
よからぬ意図を持って行われているということだ。
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出版の件 26

秋晴れの十月も終わろうとしていた。

昼間に都心の繁華街を制服姿で歩く美耶を、男たちや、たまに女がちらちらと見る。
約束の時間まで少しあったのでゲームセンターに入ったら補導員に捕まったけれど、就職試験を受けてきたところだと言って学生証を見せたら、気持ちも分かるけど寄り道しないで早めに学校に帰りなさいと注意されるだけで終わった。

うちの学校は直帰でいいんですと言うのもめんどうなので素直に頷き、時間には少し早かったけれど待ち合わせ場所の犬の銅像の前に向かう。
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