驟雨の隙間 (7)|ヤキモチ

このごろ、瑠璃のご機嫌が滅法悪かった。

とは言ってもクラスメイトのまえでは上手い具合に隠していて、特に異常はないのだ。
だが、ひよりの前でだけは素に戻るのだろうか、不機嫌を隠す素振りさえ見せない。

なにかに怒っているというよりは、なにかが気に入らないといった雰囲気だ。

「瑠璃、どうかした?」

「いいえ、べつに」

万事そのようなやり取りしか行えないのである。
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3. 円を描く

furuetenemure3「なんでさっさと言わないの!」
美耶は怒ったように頬を膨らませていた。

「美耶が楽しそうだったから」

「楽しかったけどさ!」

ベッドに寝かせた日菜子の髪にドライヤーを当てて、湿った髪を乾かしていく。
ビタミンカラーのドライヤーは先日買い換えたばかりで、風量が多いのであっという間に乾いた。
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友達以上には思えない 13

結果から言うと、美耶と一哉は一度付き合い、やがて別れた。
なんとなく居心地がよくて付き合うことにOKしたのだが、結局一哉への感情が友情から変化することはなかったのである。

そしてなにより重大だったのが、美耶がどうしても一哉に自分を触れさせることを許可出来なかったという事実だった。

手を繋ぐくらいならなんとか出来た。
けれどそれ以上がどうしても無理だった。

それが当たり前の本能であるかのように、美耶は一哉からのキスを拒絶してしまった。

一度くらいなら照れたという理由で納得できるが、それが何度も繰り返されると、やがて一哉が諦めた。
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