初霜(6)|髪結乙女

hatusimo6「試験のとき、先生の足を踏んでしまったんです」

「そんなこと先生方は慣れっこだから大丈夫よ」

あっけらかんと笑いながら、水無月先輩が言った。

試験と発表会の終わった夕暮れ時。
生徒会特別棟の一室にある、年代物のドレッサーの前。

 

ひよりは白いドレス姿でその前に座り、
水無月先輩に髪を結ってもらっていた。

部屋には先ほどまでほかの役員たちもいたのだが、
それぞれ着替えが済むと、
一足先に夜会の行われるダンスホールへと向かってしまった。
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驟雨の隙間 (3)|幻想物語

この学園は全寮制で、敷地内に大きな寮がある。だけれど、生徒たちの登校時間はまちまちだ。部活や委員会などで朝早い生徒もいれば、なにもないので遅い生徒もいる。ひよりもいつもならば後者だった。

「ごきげんよう狛桐さん」

「ごきげんよう」

「ごきげんよう、今日はなんだか早いみたい」

小鳥たちの挨拶に、ひよりは読んでいた本を閉じて顔を上げた。

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