3.金曜日の玩具|Not used to Love

not3金曜日の夜。
詩乃の手料理を食べ、テレビを見る時間が莉南子は好きだ。
ささくれていた頭の中が穏やかになっていく。

「詩乃、眠い?」

莉南子は膝枕の上の詩乃の髪を撫でた。
さっきから口数が少ない。

「眠くない」

でも、と詩乃が言葉を継ぐ。

「したい」

誘惑とおねだりを同時にやってのける瞳に、莉南子は欲情した。

「ベッドに行こうか」

リビングとは引き戸で仕切られた狭い寝室。
セミダブルのベッドは二人だけの世界。

「しのっ……ゆっくり……」

性急なキスを咎めても、詩乃は止まらない。

「んんっ……あっ……」

莉南子は詩乃の唇や舌を噛んでやった。
快感と痛み。
ワガママな恋人を支配するには両方が必要だ。

「もう、濡らしてる」

下着に染みた秘蜜の量は多く、詩乃の淫らさを伝えた。

「何が欲しい?」

莉南子の言葉に、詩乃の呼吸が乱れる。

「ぁ……オモチャがいい」

「どの?」

そういうオモチャは幾つか買ってある。
詩乃を満足させるために。

「ん、ぎゅって、できる方……」

詩乃がねだったのは、ペニバンだった。

「詩乃はいやらしいね」

莉南子はベッドサイドの棚から、ハーネスを取り出し身に着けた。
細めの黒いディルドをリングに通すと、自分が残酷な支配者になった気分になる。

嗜虐と奉仕が混ざり合う行為は、詩乃との間だけにしか成立しない。
莉南子は念のためのコンドームをディルドに被せてから、詩乃の脚を開いた。

「いれるよ」

角度を確かめながら、莉南子が腰を沈めていく。
詩乃の口から高い悲鳴が漏れた。

「ぎゅって、して」

莉南子は華奢な体を強く抱きしめた。
優しい抱擁とは真逆の律動も始める。
詩乃が言葉にならない嬌声を上げた。

繋がった場所からも、卑猥な水音が漏れる。

「こうされたかったの?」

「はぃ……ぅあ、りなこっ……」

背中にしがみつく手の熱さに煽られるまま、莉南子は秘花を穿ち続けた。

「もっと、気持ちよくなって」

詩乃の反応がいい場所を狙って、莉南子は腰を打ちつけた。

「そこダメぇ!……っああ!!」

莉南子は両腕の中で達する恋人を、永遠に抱きしめていようと思った。

驟雨の隙間 (10)|お仕置き

なにを言われているのか理解出来ずに、軽く首を傾げる。

「蔑ろになんかしてない」

「いいえ、していたわ。最近ずっと避けていたでしょう」

「あ、あれは……」

瑠璃の機嫌が悪かったから。
一人にしたほうがいいのかと気を回したのだ。

 

けれどそれは結果的には逆効果だったようで、瑠璃はニイと笑う。

「いいから、黙ってお仕置きされなさい」

「ちょ、ちょっと、ま、っあぁ!」

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秘密の花園 (10)|ようこそ

hanazono10ショーツ越しに、瑠璃の指が
ひよりの柔らかい肉を撫でる。

少し押されるだけで、
じゅわりと蜜が滲み出すのが自分でも分かった。

瑠璃は放り出されていたおもちゃ
再び手に取ると、それをひよりの内腿に這わせた。

「っふ、ん、んぅ」

くすぐったいのに、期待が腰を重くする。

それを、脚の間にある敏感な芽に押し当てられたら。

背中から回したほうの手で胸を弄び、
もう片方の手でローターを操作する。

くすぐったいような痒いような、
快とも不快ともつかない感覚にひよりは吐息した。

焦らされているのだ。
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29.久遠の祈り

furuetenemure29溺れる者が縋り付き合うかのように、
ふたりはシーツの海でまぐわった。

「あ、あ、あああ」

「ひなちゃ、ひな、」

「み、やぁ」

白い肌と肌をぴったり合わせて、
脚を開いて花びらを押し付けあって、

敏感な芽を擦り合わせて、
ぬくもりと快感に噎び泣き、
蜜をしたたらせる。
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久遠の闇 24

「やあっ! あ、あっあぁっ」

紅く染め上げられた縄で、白い雛子の肉体を縛る。
雁字搦めと見えて、一定の規則を持った縛りかたに、たぶん雛子自身も興奮していた。

連夜に渡って責め立てられ、雛子はもう、美耶を許容しきっている。
どんなことをさせても本気の拒絶はなく、ただ快感を享受するだけの、いやらしいからだ。

「雛子さんの体がこんなにいやらしいの、知らなかった」

「やっ」

「隠しちゃ駄目よ。ほら、広げて見せて」

促すと、義娘にすっかりしつけられた雛子は、おそるおそると脚を開いた。
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少女の嘘 19

足首を縛っていたロープを解くと、雛子はぼんやりと美耶を見詰めていた。

「雛子さん、」

スウェットを引っ張りながら促すと、雛子は僅かに腰を持ち上げた。
そのまま素早くスウェットを脱がせ、床へと落とす。
上質な黒のショーツは雛子の肌と赤い髪に映えて、絵画のような美しいコントラストを描いている。

それにしばし魅入ったのち、美耶はそっと雛子の脚を掴んで広げさせた。

「ああ……」
ほう、と息を吐く。

「やっぱり、濡れてる」

細い脚の狭間。黒いショーツはその部分だけ更に色を深めており、雛子が既に蜜を滴らせていることを如実に告げていた。
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6おもちゃと必然性

「ぁ、はっ……」

白い手のひらが日菜子の額を優しげに撫でる。張り付いた前髪を払って、伏せたまぶたに口付けられた。抱きついてきた柔らかい体を抱きしめ返し、首筋にキスをする。
美耶は低く唸って逡巡した後、日菜子の耳元で密やかに囁いた。

「ねえ、ひなちゃん。おもちゃ、使っていい?」

「ん……なに……?」

「だーかーらー、おもちゃ使ってもいいかってば」

「おもちゃ?」

回らない頭で考える。おもちゃってなに?
ベッドから飛び降りた美耶が、ドアの横から小さな段ボール箱を運んできた。それに、見覚えがある。既に一度開封されていた箱をなんなく広げ、彼女の手が掴み出した物を、日菜子は驚きの眼差しで見ていた。

どこかで見たような、色、形、大きさ……は、思っていたより大きい。

「そ、れ……」

「前から、ひなちゃんと使いたいと思ってて…………引いた?」

淡いピンクの双頭ディルドを握り締め、必死に美耶が聞いてくる。

この子は、と日菜子は思う。
この子は、考えていたよりもずっと、日菜子のことを好きなのかもしれない。

そう思ったらなんだか美耶が堪らなく可愛く思えてきて――もちろんいままでもとても可愛かったのだけれど――日菜子は美耶の腕に頭を擦り付けた。

「引いてないよ」

「ほんと?」

「ほんとだって」

微笑みながら日菜子は美耶の腕を取る。そのまま強く引いて、胸に飛び込んできた柔らかい体を抱きしめた。

「それ、どうしたの?」

目元にキスを落としながら、なんでもないような風に聞く。けれど美耶はむずがるように唸って日菜子の首筋に顔を埋めた。

耳が真っ赤だよ。
胸の内に広がる喜色を自覚しつつ、そっと頭を撫でた。

「ねえ、美耶。それ自分で買ったの?」

「…………」

「ねえってば」

「…………」

「みーやっ」

「…………」

「言わないと、この話はおしまいだよ」

「っ! …………そうだよ」

消え入りそうな声で白状した美耶は、顔を上げないままで唸り続ける。照れ隠しなのだろうが、なんとも愛らしい。

美耶のことが、好き。

心の底からそう思った。
なによりも、美耶が自分と同じ欲求を抱いていてくれたという事実が嬉しかった。自分と同じ悩みを抱いていてくれたという事実もまた然り。

ここまで来ると、日菜子が欲しがっていたものを、日菜子が買おうと思っていたサイトから購入していたという偶然までも嬉しくなってくる。見たことがあると思ってはいたが、やっと合点がいった。箱の差出人は、いつか眺めていたサイトに記載されていた会社名と同じだったのだ。

「ねえ、本当に引いてない?」

「引いてないってば」

引き倒した拍子にシーツに投げ出されたディルドに手を伸ばす。ピンクのディルドはだいぶ細身のタイプで、よく見る両側がペニスを模したものではない。太いほうを片方に入れて、きちんを攻めるために使えるような作りになっている。初心者向けと謳われている商品とのことで、まあ初めてだし、太さもこれくらいから始めるほうがいいのだろう。

日菜子は体を起こし、美耶の白い肌にそっと唇を寄せた。