秘密の花園 (1)|桜花満開

hanazono1まるで一年生のようだ。

引越しが終わったばかりの寮の部屋。

姿見に映る見慣れない自分の姿に、
狛桐ひよりは小さく嘆息した。

金エンブレムの深緑のブレザー。
同じ色のスカートには
淡い緑と黄でチェック模様が施してあり、
腰まわりはタイトだが太ももの辺りで
切り替えがあって、そこから下はプリーツを作っている。

この制服を身に着けているだけで、
近隣校の生徒から憧憬と
羨望の眼差しで見られる。

たとえそれがひよりであったとしても。
ああ、あれがお嬢様か、と。
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秘密の花園 (2)|花々の宮

hanazono2私立花ノ宮女学園といえば、
関東随一のお嬢様学校として名高い私立校だ。

幼稚舎から大学までの一貫校で、
外部からの編入には家柄と人柄、
学力テストという高い壁が立ちはだかる。

ほぼ、生まれながらのお嬢様がたが、
お嬢様としての教育を受け、
お嬢様として社会に出るための学び舎なのである。
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秘密の花園 (4)|森で迷子

hanazono4保健室は、
ひよりのクラスと同じ校舎にある。

彼女が姿を消した次の授業の前に、ひよりは保健室へ向かった。

「おなかが痛くて」

優しい養護教諭はひよりのお腹を撫でて首を傾げた。

生理中?
違うのなら、排卵痛かしら。
次が終わったらお昼よね、

それまで寝てなさい。
カイロがあるから、
これをお腹に当ててね」

「はあい」

「先生は水質検査をしてこなきゃ
いけないんだけど、一人で平気?」

「大丈夫です」

「そう。もし授業に出られそうなら
途中で行ってもいいけど、
あまり無理はしないようにね」

「分かりました、
ありがとうございます」

宛がわれたベッドに横になり、
ひよりは教師が出て行くのを待つ。

前の学校では横行していて使えなかった手だが、
ここの生徒たちは授業をサボろうなんて
考えもしないのだろう。

少し経つとチャイムが鳴り、
校舎は徐々に静寂に包まれていく。

五分ほどしてから、
ひよりはベッドを抜け出した。

空いているベッドは四つ。

端から確認したが、
ひよりの他には誰もいない。

ならば、あれはやはり
藤ノ条瑠璃だったのだろうか。

ひよりは先ほどの授業中に見た光景を思い返す。

ふと窓の外へ目を向けていた折、
それを見た。

向かいの校舎の切れ目からは
鬱蒼と茂る森が見えている。

そこへ吸い込まれるようにして消える、
長い黒髪の生徒を見たのだ。

彼女だ、と直感的に覚った。

体調が優れないと言って退室した彼女が、
なぜあのような場所へ入っていったのか。

無性に知りたくなって、
ひよりはこんな馬鹿げたことをしている。

靴を履いて、こっそりと、
彼女が消えた場所へ向かおうとしている。

間違っても教師や
移動中の生徒とかち合わないように、
ひよりは身を隠しながらゆっくりと進んだ。

校舎にぴったりと体を寄せれば、
見られる危険性は殆どない。

唯一ひよりのクラスからだけは
見えてしまいそうな角度だったけれど、
授業中にぼんやり窓の外を見るなんて
不届きな生徒などひより以外にいないだろうから。

踏み込んだは、
外見の印象とは打って変わり、
適度に枝が払われていて
昼前の明るい日差しが差し込んでいた。

道はない。
ひよりは当てもなく進んだ。

学園の敷地内なのだから、
迷ってしまっても大事にはならないだろう。

昼食の時間と昼休みも見込めば
時間はたっぷりとある。

十分ほど進むと、
高い柵に行き当たった。

これが敷地の境界線なのだろう。

少し悩み、そのまま左手へと進む。

方向感覚が合っていれば、
右へ向かえば寮の敷地に出てしまう。

秘密の花園 (6)|官能小説

himitunohanazono6天幕の中のベッドで眠っていたのはクラスメイトの藤ノ条瑠璃に間違いなかった。柔らかな光の中で眠る、麗しきご令嬢。

「なんでこんなところに……」

ベッドサイドにある小さなテーブルには、ラップの掛けられたサンドイッチとティーセット、それに読みかけだろうか、カバーの掛けられた文庫本も置いてある。

栞の挟まれたページを開いてみて、
ひよりは再び仰天した。
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秘密の花園 (7)|女子同士

himitunohanazono7「仲良く?貴女と?」
ひよりの下で、瑠璃の瞳が妖しく輝る。

「意味が分かって言っているの?」

「わ、分かってるわ」
ひよりは頷いた。

 

脅すような真似までして手に入れた友情なんて意味のないものだ。

分かっていても、
口から出てしまったのだからしょうがない。
ひよりは、友達が欲しかった。
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秘密の花園 (8)|憧憬叶う

himitunohanazono8「あ、あ、あ」
ゆっくりと胸を揉まれて、声が出る。

背後から絡み付いてくる
華奢な腕の拘束から逃げようと軽く体を捩ると、
瑠璃はひよりの耳孔に甘い息を吹き込んだ。

「あら、あら、逃げては駄目よ」

「ひ、ぃんっ」

ブラウスの上から乳首に爪を立てられて、
弱い、けれど初めて体験する刺激に、ひよりは総身を慄かせた。
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秘密の花園 (10)|ようこそ

hanazono10ショーツ越しに、瑠璃の指が
ひよりの柔らかい肉を撫でる。

少し押されるだけで、
じゅわりと蜜が滲み出すのが自分でも分かった。

瑠璃は放り出されていたおもちゃ
再び手に取ると、それをひよりの内腿に這わせた。

「っふ、ん、んぅ」

くすぐったいのに、期待が腰を重くする。

それを、脚の間にある敏感な芽に押し当てられたら。

背中から回したほうの手で胸を弄び、
もう片方の手でローターを操作する。

くすぐったいような痒いような、
快とも不快ともつかない感覚にひよりは吐息した。

焦らされているのだ。
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