初霜(10)|月下円舞

hatusimo10細い肢体はびくびくと波打ち、
軽度の絶頂を繰り返す少女は泣きじゃくる。

振動に合わせて暴れるブラシが荒々しく包皮を剥き、顔を出したルビーのような粒を撫で上げている。

ローションでぬめるブラシは触手のようでもあり、いままでにない快感を瑠璃に与えるようだった。
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初霜(8)|やきもち

hatushimo8凍えるような眼差し。
少女の声には棘がある。

「あなたがた、次は水無月誠先輩が
踊ってくださるそうですよ。お願いなさいな」

瑠璃は白い手を水無月先輩へ差し伸べた。

 

 

「あれえ私ィ?」

「ええ。可愛い後輩たちと踊ってやってください」

水無月先輩はすいと目を細めて瑠璃を眺めた後、
いつものように苦笑してその手を取った。
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初霜(6)|髪結乙女

hatusimo6「試験のとき、先生の足を踏んでしまったんです」

「そんなこと先生方は慣れっこだから大丈夫よ」

あっけらかんと笑いながら、水無月先輩が言った。

試験と発表会の終わった夕暮れ時。
生徒会特別棟の一室にある、年代物のドレッサーの前。

 

ひよりは白いドレス姿でその前に座り、
水無月先輩に髪を結ってもらっていた。

部屋には先ほどまでほかの役員たちもいたのだが、
それぞれ着替えが済むと、
一足先に夜会の行われるダンスホールへと向かってしまった。
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初霜(5)|些細な事

仮面問題は、蓋を開けてみれば
呆気なく片付いた。

イタリア雑貨の輸入を手がけている生徒の親が、
そういうことならばと本場の仮面を
格安で用意してくれたのだ。

購入先と値段が決まったことで、
結果的に保護者の許可も取れたので、
生徒個人の積み立てから出すことができた。
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初霜(3)|円卓の会

「では、今回の後夜祭のテーマは
仮面舞踏会ということで」

生徒会長の言葉に、
楕円のテーブルを囲んでいた全員が頷いた。

夕方の生徒会特別棟。ほぼ毎日
こまごまとした仕事のある生徒会役員だが、
今日の会議の議題は、
目前に迫っている社交ダンスの試験、
そして発表会後にある、
後夜祭で行われるダンスパーティーのテーマ決定だ。

この一週間、本校舎のエントランスに投票箱を設置し、
予め生徒会で絞っていた候補から、
全生徒に希望を投票してもらった。

そしてそれ回収し、数え終わったのが昨日のこと。
(こういうのが秘書たちの仕事なのだ)
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初霜(2)|自己犠牲

「どんな人だったの?」

制服へと着替えつつ尋ねると、
塚本さんは白い頬を真っ赤に染めて、呟いた。

「思い出したくありません」

「あ、そ」

ここまで口をつぐむと言うことは相当失礼なことをされたか。

無論、お相手の男性が
失礼なことをした自覚がないというのも考えられる。

花ノ宮のお嬢様方は
(いまとなってはひよりもその一員なのだが)
温室育ちの純粋培養の少女なのだ。

外界では一般的な、少なくとも
非難されるようなことではない行為でも、
彼女たちにとっては「失礼」と看做される可能性はある。

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