甲府盆地の暑い夏(29)収まるべき場所

「こんな夜更けに、すいませんでした」

阿川が言うと、美智は無言で首を振った。

部屋に入ったが、椅子に座ろうとしない。
あごの前で両手を合わせて、
祈るような目で阿川を見つめている。

「本当に……大丈夫なんですか?」

まだ阿川のことを心配している。

一刻も早く、なぜ阿川が来たのか
という説明を聞きたがっているようだった。

仕方なく阿川も、立ったままでいた。
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