お客様N(3) | 女子大生の味

娘は出口に駆け寄り、ドアを開けかけて立ち止まった。
添島が追いかけてくると予想していたのだろう。
しかしその気配がない。

添島は、ソファにうずくまってうなだれていた。

「ごめん。俺の方こそ、そんなつもりじゃ……。君を見てると、つい」

娘はドアを半開きにしたままじっとしていたが、やがてドアを閉めた。

「ううん。私の方こそ、ごめんなさい……。急じゃったけんびっくりしただけなんよ」
娘は岡山弁で言った。

「また会える……?」
添島が言うと、娘は「うん!」と元気に言った。

うなだれていた添島は、それを聞いて満面の笑みを娘に向けた。
娘はハッとした。
添島の目に涙がにじんでいたからだった。
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