21話 『ドライフラワー』

「当時、僕は築地の乾物問屋で
アルバイトをしながら、
毎日、チラシの裏に作詞をしては
レコード会社に売り込んでいたんだ」

私は妊娠したのだろうか…

いいえ、していない。

そばで昔話をする室生の話を聞くふりをしながら、
瑞樹は心の中でそんな自問を繰り返していた。

珍しく、夫が妻を求めてきて、
濃い精液を奥に放ったところで、
そんなに簡単に妊娠はできるものではない。

もしかしたら
勇一の精子に問題があるかもしれない。

もうすぐ生理が来る予感がする。

食欲、微熱、感情の起伏…。
ちょっとしたことで女にはそれがわかる。

また子供には恵まれなかった。
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