「甲府盆地の暑い夏」の記事一覧(2 / 3ページ)

甲府盆地の暑い夏(11)|二回目の訪問

雨に煙る清里高原が、右手にうっすら見える。 白と緑があいまいに霞むそれは、 晴れた日とはまた違う幻想的な光景だった。 阿川が読者コラムニスト坂井美智のうちを訪ねると、 バタバタと小走りをする音が聞こえた後でドアが開いた。

甲府盆地の暑い夏(12)小雨とうたたね

翌週。今回は豪雨ではなく、小雨が降っていた。 美智のところに原稿をとりに行った阿川は、 またお茶菓子に付き合わされることになった。 話はコラムのこと、 美智の受け持つ授業の生徒のこと、 家族のことなど、あっちこっちに飛ん・・・

甲府盆地の暑い夏(13) 半年前までの女

阿川は久々に、東京に来た。甲府支局の仕事で、中央新聞の本社で資料を探し借りるためだった。   本社ビルに入りロビーを歩くと、すれ違う何人かがギョッとして振り返った。阿川は本社では有名人である。今は悪名の方が高い・・・

甲府盆地の暑い夏(14) 夏の始まり

梅雨が明けた。 「本州で最も暑い場所」になることも時々ある、甲府盆地の夏が始まる。 建物から外に出ると熱気のかたまりが正面から体にぶつかってきて、すぐに引き返したくなる。 盆地特有の、高い湿気を伴う強烈な暑さ。 もっとも・・・

甲府盆地の暑い夏(15) 映画

「私とですか!?」 美智は自分を指さしながら言った。 「ええまあ……」 「なんで!?」     何でと言われても、美智が異様に寂しそうで、阿川と会えなくなるのがそれほど悲しいのかと思ったからだが、さす・・・

甲府盆地の暑い夏(16)受診

美智と映画に行った日の数日後、 阿川は有給休暇をとって東京に来ていた。 ED治療の病院を受診するためである。 サプリメントや性器にはめるリングも 一定の効果を挙げていたが、 充分とは言えなかった。

甲府盆地の暑い夏(17)バイアグラの審判

阿川はバイアグラを握りしめ、 甲府行きの電車に乗った。 今日すぐに、この薬を飲んで試してみるつもりだった。 最短時間で着く特急だが、 一刻も早く帰りたい阿川にとっては 鈍行のように遅く思える。

甲府盆地の暑い夏(18)思わぬ原因

数日後、もう一度バイアグラを試してみた。 結果は同じであった。 阿川は先日受診した、東京の病院に電話をした。 激怒していた。 「本物のバイアグラじゃなくて、 ラムネ菓子でも処方したんじゃないのか」 とでも言って怒鳴りつけ・・・

甲府盆地の暑い夏(19)八ヶ岳ハイキング

登山の当日になった。 快晴である。 八ヶ岳は美智の住んでいる北杜市の北方にある。 阿川は早朝、車で美智の家へ向かった。 着いて会うと、美智にくすくす笑いをされた。 適当な服と運動靴で来たのだが、 何か変だったのかもしれな・・・

甲府盆地の暑い夏(20)アンとマシュウ

八ヶ岳登山をきっかけに、阿川は美智といっしょに 1~2週間に一回野山を歩くようになった。   八ヶ岳に行った日から一週間のあいだは、 阿川は筋肉痛のため歩くのもやっとの状態だった。   それで美智に ・・・

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