18話 『雨に濡れた花』

「一杯だけ、どうかな?」

雨は小降りになっていた。

終電までにはまだ時間があった。

いつもならホテルを出ると、
駅の改札の手前で小さく言葉を交わして、
自然と離れるようにして
別のホームへと足を急ぐのだが、
今夜の室生は酒を呑みたがった。

「だって先生、血糖値が」

「日本酒は我慢する。
焼酎ならいいって医者から言われてるんだ。
だから、一杯だけ」

断る理由もなかったので、
瑞樹は室生の二の腕に腕をからませた。
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17話 『ささやかな後悔』

見ておきたかった。

瑞樹は悶え、喘ぎ、
室生の二の腕に爪を立てながら、
顔を右に向けて壁の鏡を見た。

乱れたシーツのベッドの上、
上半身の服を身に着けたままの老人と、
孫ほど年下の女が腰を激しく使って蠢いている。

ぴったりと、
まるで自分たちの肉でもあるかのような感触で、
ウィバイブ4は二人の性器の間に吸いつき、
繊細な振動を広げていた。
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16話 『淫汁』

指を添えた男根を、ゆっくりと花弁に押しつけていった。

まだ亀頭は柔らかい。

花弁に押しつけると、
そのまま中折れになって外に逃げてしまう。

けれどウィバイブ4が添えられた、
これまでにはない現実離れした卑猥な花弁が、
室生の雄を刺激したのは間違いなかった。

「ゆっくりね、ゆっくり…」

萌芽と蜜道にバイブの刺激を受けながら、
熱く丸い亀頭が何度も挿ってくる感覚が伝わってきた。
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15話 『奥で漲る』

閉じた窓は、隣りのビルの壁に面していた。

音は聞こえないが、
風で激しく雨滴がガラスに当たっているのはよく見えた。

「どうやって使うの?」

ウィバイブ4を手に取り、
室生は不思議そうにひねりまわして考えこんでいた。

「こうやるの」

瑞樹はバイブを老人から取り上げ、
リモコンを渡した。

「私が使ってみる。
スイッチとレベルを調整してね」

室生の中指で濡れた花弁をいっぱいに開き、
瑞樹はベッドに仰向けになった。
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14話 『枯れ木の雫』

ホテルの前で白い猫が車に轢かれて死んでいた。

それをよけ、顔をそむけながら二人でロビー入った。

室生が傘をすぼめて水を切る間に、
瑞樹は素早く部屋を選んでパネルのボタンを押した。

フロントの小さな窓から、
肉づきのいい中年女の手が鍵を差し出してきた。

猫の血が雨に流れているのを見たせいではないだろうが、
瑞樹はいつもより興奮していた。

きっとそれはカバンに隠し持ったウィバイブ4のせいだ。

けれど、血を見るということは生理を連想させる。

それにホテルに入って、
室生の男根を口にふくんだときも、
いつもとは違うと感じた。

萎えてはいるが、口の中のそれは、
少し芯が入っているというか、
いつものゼリーのような柔らかさではなかったのだ。
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13話 待ち合わせ

室生はパソコンも触ったことがない。
携帯は古くてメールもできない。

だから連絡は電話か、
留守電にメッセージを入れるしかなかった。

金曜日はまた雨になった。
天気予報では夜になって激しく降るそうだ。

傘をすぼめて喫茶店の外でスマホを取り出し、
室生に連絡を取った。

作詞教室に向かう電車の中なのだろうか、
低い老人の声で留守電のメッセージが流れた。
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12話 初めての快感

karenaihana12ベランダで洗濯物を取り込むとき、階下の広場を見下ろすと、
さっきまでここで珈琲を飲み、世間話しに笑っていた絵美ちゃんが、
駐輪場から自転車を引き出しながら手を振っていた。

童顔だが瑞樹よりも四つも年上。
三歳の男の子の母親でこれから保育園に迎えに行くのだ。
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11話 ウィバイブ4

karenaihana11アイドルのチケットが届くよりも、
この荷物が届く時間のほうが
瑞樹には不思議な昂揚感があった。

チケットを手にしたあの夏、
友達と出かけたコンサート
少し失望してしまったこともあるかもしれない。

『枯れない花』

たった一曲しかヒット曲がない
老作詞家の男根を蘇らせるために、
自分で選んだアダルトグッズを待つほうが、
よっぽど刺激的な気がした。
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10話 不思議な玩具

karenaihana10「病院なんかに頼るのは嫌なんだ」

一瞬、デジャヴのようだと瑞樹は思った。

作詞教室から二日後の昼下がり、
夫の勇一と二人で久しぶりに新宿で映画を観に行った日のことだった。

ロビーで上演時間を待っているとき、
二、三歳の女の子を抱いたカップルが向かい側のソフアに座っていた。

「同じ回の上映じゃなきゃいいけど」

「あら、可愛いじゃない」

「騒がれたらたまらないよ」
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9話 玩具の誘惑

karenaihana9-2「ああっ、もっと、もっとぉぉ!」

花弁からあふれた蜜が、
室生の萎えた男根にからみつき、それを花びらの重ねが摩擦をして、いつしか蜜蝋でも塗りたくったように白く濡れ光っていった。

 

硬くしこりきった乳首が
室生の指の又で締めつけられ、
それに呼応するように瑞樹もまた、
両手をついた室生の乳首を爪の先で掻きむしった。
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