21話 『ドライフラワー』

「当時、僕は築地の乾物問屋で アルバイトをしながら、 毎日、チラシの裏に作詞をしては レコード会社に売り込んでいたんだ」 私は妊娠したのだろうか… いいえ、していない。 そばで昔話をする室生の話を聞くふりをしながら、 瑞 […]

24話 『造花と涙』

勇一に疑われたのは、 皮肉にもウィバイブ4ではなかった。 それは袖口に入っていた 一枚の小さな花びらだった。 室生に誘われてデートをした植物園。 ベンチのそば、風に舞った花びらが 知らぬ間に袖口にまぎれこんでいた。 それ […]

25話 『花びらの行方』

その日は金曜日の朝だった。 勇一は週末に出勤し、月曜も火曜も 社長の代理で韓国に出張していたので、 水曜は休みをもらって自宅にいた。 そして偶然に亜熱帯の花びらを見つけて 妻を疑い、問い詰めたのだ。 シーツの上に落とされ […]

26話 『いつもより濃い精子』

思わず、瑞樹は そばにあったウィバイブ4を強くつかんだ。 汗ばんだ掌の中、 振動が手首に伝わってくるのがわかった。 勇一の男根は太く熱く、何度も挿れて、 そのカタチはよく知っているはずなのに、 まるで初めてのような激しい […]

27話 『枯れゆく花』

蜜と精液と汗で汚れたシーツを丸めて、 瑞樹は勇一の靴下といっしょに洗濯槽に入れた。 シャワーを浴び、 簡単に化粧をして服を着た。 赤い下着はつけなかった。 「俺も、ちょっと行ってもいい?」 セックスの後、 勇一はいつもよ […]

28話 『漂う花』

「そうか、旦那さんに疑われたのか」 夫の勇一が福岡に出張した平日の午後、 瑞樹は室生を誘って映画を観た。 都内でも珍しくなった古い名画座。 午前中の客席には室生と瑞樹、 それに若いカップルしかいなかった。 上映が始まるま […]

29話 『最後の交わり』

あふれた蜜が太ももの内側にまわって スカートを濡らしそうになった。 瑞樹は座席に落としたお尻を少し左にずらし、 蜜を蕾に集めるようにした。 左にずらしたことで室生と寄り添う位置になった。   こんどは室生の手が […]

30話 『実のなる花』

不思議なこともあるものだ。 瑞樹はいつも室生のことを思い出しては、 そんな感慨にひたる。 室生が亡くなってから、わずか三日後に、 瑞樹は妊娠していることを産婦人科の医師から知らされた。     映画館 […]