11話 ウィバイブ4

karenaihana11アイドルのチケットが届くよりも、
この荷物が届く時間のほうが
瑞樹には不思議な昂揚感があった。

チケットを手にしたあの夏、
友達と出かけたコンサート
少し失望してしまったこともあるかもしれない。

『枯れない花』

たった一曲しかヒット曲がない
老作詞家の男根を蘇らせるために、
自分で選んだアダルトグッズを待つほうが、
よっぽど刺激的な気がした。
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12話 初めての快感

karenaihana12ベランダで洗濯物を取り込むとき、階下の広場を見下ろすと、
さっきまでここで珈琲を飲み、世間話しに笑っていた絵美ちゃんが、
駐輪場から自転車を引き出しながら手を振っていた。

童顔だが瑞樹よりも四つも年上。
三歳の男の子の母親でこれから保育園に迎えに行くのだ。
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13話 待ち合わせ

室生はパソコンも触ったことがない。
携帯は古くてメールもできない。

だから連絡は電話か、
留守電にメッセージを入れるしかなかった。

金曜日はまた雨になった。
天気予報では夜になって激しく降るそうだ。

傘をすぼめて喫茶店の外でスマホを取り出し、
室生に連絡を取った。

作詞教室に向かう電車の中なのだろうか、
低い老人の声で留守電のメッセージが流れた。
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14話 『枯れ木の雫』

ホテルの前で白い猫が車に轢かれて死んでいた。

それをよけ、顔をそむけながら二人でロビー入った。

室生が傘をすぼめて水を切る間に、
瑞樹は素早く部屋を選んでパネルのボタンを押した。

フロントの小さな窓から、
肉づきのいい中年女の手が鍵を差し出してきた。

猫の血が雨に流れているのを見たせいではないだろうが、
瑞樹はいつもより興奮していた。

きっとそれはカバンに隠し持ったウィバイブ4のせいだ。

けれど、血を見るということは生理を連想させる。

それにホテルに入って、
室生の男根を口にふくんだときも、
いつもとは違うと感じた。

萎えてはいるが、口の中のそれは、
少し芯が入っているというか、
いつものゼリーのような柔らかさではなかったのだ。
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15話 『奥で漲る』

閉じた窓は、隣りのビルの壁に面していた。

音は聞こえないが、
風で激しく雨滴がガラスに当たっているのはよく見えた。

「どうやって使うの?」

ウィバイブ4を手に取り、
室生は不思議そうにひねりまわして考えこんでいた。

「こうやるの」

瑞樹はバイブを老人から取り上げ、
リモコンを渡した。

「私が使ってみる。
スイッチとレベルを調整してね」

室生の中指で濡れた花弁をいっぱいに開き、
瑞樹はベッドに仰向けになった。
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16話 『淫汁』

指を添えた男根を、ゆっくりと花弁に押しつけていった。

まだ亀頭は柔らかい。

花弁に押しつけると、
そのまま中折れになって外に逃げてしまう。

けれどウィバイブ4が添えられた、
これまでにはない現実離れした卑猥な花弁が、
室生の雄を刺激したのは間違いなかった。

「ゆっくりね、ゆっくり…」

萌芽と蜜道にバイブの刺激を受けながら、
熱く丸い亀頭が何度も挿ってくる感覚が伝わってきた。
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17話 『ささやかな後悔』

見ておきたかった。

瑞樹は悶え、喘ぎ、
室生の二の腕に爪を立てながら、
顔を右に向けて壁の鏡を見た。

乱れたシーツのベッドの上、
上半身の服を身に着けたままの老人と、
孫ほど年下の女が腰を激しく使って蠢いている。

ぴったりと、
まるで自分たちの肉でもあるかのような感触で、
ウィバイブ4は二人の性器の間に吸いつき、
繊細な振動を広げていた。
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18話 『雨に濡れた花』

「一杯だけ、どうかな?」

雨は小降りになっていた。

終電までにはまだ時間があった。

いつもならホテルを出ると、
駅の改札の手前で小さく言葉を交わして、
自然と離れるようにして
別のホームへと足を急ぐのだが、
今夜の室生は酒を呑みたがった。

「だって先生、血糖値が」

「日本酒は我慢する。
焼酎ならいいって医者から言われてるんだ。
だから、一杯だけ」

断る理由もなかったので、
瑞樹は室生の二の腕に腕をからませた。
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19話 『水中花』

赤いパンティを小さく丸めて、
洗濯機の中、枕カバーの下に差し込んだ。

熱いバスタブのお湯に少し長く浸かり、
時間をかけて髪の毛も洗った。

室生の体臭がしみついているわけではなかったが、
やはり自分の中に、
老人と初めてセックスをしてしまったという
後ろめたい気持ちがあるのだと瑞樹は思った。

初めてというのはおかしいかもしれない。

これまでに何度も室生の体を愛撫し、
男根を手でしごき、
口にふくんで唾まみれにしてきた。

どんなに卑猥な行為をしても、
萎えたままで挿入できないという関係が面白かった。

だからもっともっと、自分も淫乱になれた。
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20話 『不自然な交わり』

昨日までの雨と風が嘘のような快晴になった。

空は青く広がり、
千切れたような雲がゆっくりと流れている。

瑞樹はたまった洗濯物を
ベランダに出て物干しに干した。

サンダルに残っていた雨の雫が
素足に冷たかった。

下腹部が熱っぽく、
どこか重い感じがした。

一晩に二人の男に抱かれ、
漲った男根を挿れられた経験は
初めてのことだった。
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