21話 『ドライフラワー』

「当時、僕は築地の乾物問屋で
アルバイトをしながら、
毎日、チラシの裏に作詞をしては
レコード会社に売り込んでいたんだ」

私は妊娠したのだろうか…

いいえ、していない。

そばで昔話をする室生の話を聞くふりをしながら、
瑞樹は心の中でそんな自問を繰り返していた。

珍しく、夫が妻を求めてきて、
濃い精液を奥に放ったところで、
そんなに簡単に妊娠はできるものではない。

もしかしたら
勇一の精子に問題があるかもしれない。

もうすぐ生理が来る予感がする。

食欲、微熱、感情の起伏…。
ちょっとしたことで女にはそれがわかる。

また子供には恵まれなかった。

作詞教室がある日以外で、
室生が瑞樹を誘ったのはその日が初めてだった。

二人で私鉄電車を乗り継いで、
東京近郊にある植物園を訪ねた。

カバンの中の赤い袋には、
たっぷり充電したウィバイブ4が入っている。

「レコード会社のディレクターには、
どうやってアポを取ったんですか?」

「いきなり電話をかけて掛け合うんだ。
当時は歌謡曲全盛だったから、
すげなく断るのもいたけれどね。

たまに会ってくれるディレクターもいたよ。
そこから少しづつ人脈を広げていったんだ」

植物園は季節の花が満開に咲き競っていた。

園内にあるカフェで珈琲を飲み、
人気のないベンチでそっとキスを交わした。

「今日も、持ってきてくれた?」

「もちろん」

室生は目尻の皺を強くして笑顔になり、
瑞樹の手首を優しく握って、
その手を自分の股間に押し当てた。

「この年齢で、できるとは思ってもみなかったよ」

バスを降りて、
駅のまわりを散策して
一軒のラブホテルを見つけた。

エレベーターのドアが開くと、
若い女性同士のカップルが
手をつないで出てきたのでびっくりした。

平日の昼下がり。
時間はたっぷりあるので二人でお風呂に入った。

室生の男根は萎えたままだったが、
瑞樹への愛撫は積極的だった。

浴槽の縁に両手を置き、
後ろに突き出した瑞樹のお尻を抱え込み、
室生は花弁に激しくを押しつけた。

「ああっ、先生」

唇だけではない。
鼻の頭、頬、眉毛…。

顔全体を花びらにこすりつけてくる。

いつしかお湯の雫ではなく、
ねっとりした瑞樹の蜜で室生の顔が光っていった。

「そうだ、ここで、ここでイクのを見せてくれ」

人差し指と中指を自分の唾で濡らし、
後ろから瑞樹の蜜道にヌルリッと挿れてきた。

関節を曲げ、瑞樹の中のヒダをかきまわした。

「ああっ、あああっ」

壁のタイルに頬を押しつけ、
瑞樹の切ない声が浴室に響いた。

それと同時に、
腰全体がおねだりをするように上下に動いた。

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