お客様N(1) | プロローグ

2013年某月某日。ネットショップを運営する某社に、注文のメールが一通届いた。

  • アナルバルーン
  • タイヨー痔バンド
  • ソフトリアルディルド・ペニスバンドセットB
  • 芋茎ジェル10ml 2本入り
  • 僕のペニスをあなたのペットに!!
  • アクメバタフライ
  • 低温ローソク(小)
  • 虜X 平ムチ
  • SMレボリューション・No.6 ハンター(棒付き手足枷)・本革) (leatherblack)
  • SMレボリューション・No.10 スパイダー(拘束ベルト)・本革黒
  • 虜X 口枷 (黒)
  • 虜X 手枷(黒)
  • 虜X 首枷(黒)
  • 虜X 足枷(黒)
  • 編込みバラムチ
  • 乳首クリッパー No.2(リング付き)

これは、上記の品が注文されるに至った経過、そしてそれらの品がどのように使われたかをたどる物語である。

アウディR8は、V型エンジンの割には高いエンジン音を響かせながらスピードを上げた。ポルシェやフェラーリほどその姿を知られてはいないが、この車がただものではないことは一見して分かる。この車を走らせると、歩行者やドライバーが何人も振り向く。

倉敷の市街地を抜けると、すぐに斜面になって田畑と山野が広がった。瀬戸内海沿岸地方の特徴である。平地がほとんど無い。海から少し内陸に入っただけで、標高3~400メートルの山々が連なる。船や飛行機から瀬戸内沿岸を見れば、海から緑色の山塊が生えているかのように見えるだろう。それはここ、岡山県でも同様で、岡山平野をのぞけば山ばかりだった。

銀色のドイツ車は県道35号線上を、矢掛町へと向かう。運転席には若い男が、助手席には女子学生らしき娘が座っている。男は常に爽やかな笑顔を浮かべ、娘が退屈しないよう話しかけ続けていた。娘はそれを聞き、口に手を当ててずっと笑っていた。
アウディは矢掛町の中心部へと近付く。小田郡矢掛町。岡山県の南西にある。倉敷市の北西、地図で言えば左上の位置に隣接している。江戸時代は、山陽道の宿場町としてにぎわった。今も当時の宿のうちの数軒が残っており、昔の面影を残す街並みはちょっとした観光地になっている。

車はさらに北へ向かう。まだ矢掛町内だが、すぐに旧宿場町らしき雰囲気は一切なくなり、延々と農村と山々が広がる。
だんだんと山が高くなってきた。車はそのうちの一つ、龍王山へと登り始める。山中のワインディングロードにエンジンの轟音がこだまする。かなりのスピードが出ているのだが、足回りが恐ろしく安定しているため、車の挙動に危なげがない。上に登るにつれ、山々の間から青く光る瀬戸内海が見えてきた。

やがて車は、山中にしては不自然なだだっ広い平地に出た。あたりの芝は刈り揃えられているし、ところどころに見事な植木がある。噴水もある。庭だった。広大で豪華な、庭だった。そして山を背にして、豪邸が建っていた。

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