お客様N(7) | 文江

先日女子大生が来た時と違うのは、部屋の真ん中がカーテンで仕切られていることだった。
その向こうにはベッドがあるのだが、文江に警戒させないために隠している。

部屋に入った文江は、その内装とインテリアの豪華さに目を丸くしている。

「ほんまにええんかね……勝手に家に入らせてもろうて。旦那様に見つかったら怒られるんじゃないかね」

「ハハハ。社長は今、大阪なんですよ。いつもわざわざ山の上まで来ていただくので、お礼をしたかっただけなんです。そんなに気にされないで下さい」

添島が例によって、晴れ渡った青空のようなカラリとした笑顔で言った。

もちろん社長=成田は大阪ではなく、隣室にいる。

添島がコーヒーを入れ、二人は応接ソファに斜めに座る。
添島が感謝の言葉を述べ、文江がそれに対して恐縮する事から始まり、何気ない雑談が続く。

30分ほど経過した。
だんだんと文江の目が上目づかいになり、思春期の少女のようになりつつある。

「村の女らの間でも話題になっとるんよ。成田さんとこに最近来られたイケメンは誰かね、ゆうて」

文江は少し頬を赤くして言った。
添島は「そんな」と言い、苦笑いをした。

それは添島の功績でもあった。
こういう事のための下準備として、SMプロジェクトが始まる前から時々下高井村で顔を売っていた。

「今日はほんまに運が良かった。また添島さんがおられただけじゃなくて、お茶までごちそうになって」

「運じゃないですよ」
添島が笑うのをやめ、文江の目を見据えて言った。

「たまたまじゃないんです。中山さんが来られる日だけ、社長に言って担当にさせてもらったんです」

「え、あ、あの……」

文江は数秒固まった後、何を言い出すんだろうというように目を泳がせて慌てふためいた。
添島はテーブルの上の文江の手に、そっと手を重ねた。

別室で見ている成田は、相変わらず上手いなと苦笑しながら見ていた。
ヤるのか、ヤらないかというせめぎ合いは、いつ見てもスリリングだ。

隣室では添島が、文江に愛の言葉を延々と浴びせていた。

「で、でも添島さん、うちには主人も子供もおるのをわかっとるん」

「祐二と呼んで下さい。文江さん。ご主人がおられることは知っています。はっきり言います。あなたが欲しいです」

文江は明らかに、「文江」と呼ばれてドキッとしたようだった。

添島は立ち上がり、カーテンをジャッと開けた。ベッドが文江の目に入る。
文江はさんざん迷った。

「やっぱり帰る」と何度も言ったあと自ら否定した。
腰を上げかけては下ろし、上げかけては下ろした。

添島は急に文江を抱きかかえ、お姫様だっこをしてベッドに運び、どさりと落とした。
文江が何かを言う暇もないまま、その唇に自分の唇を重ねた。

最初は抵抗しようとしていた文江は、やがて力を抜き、添島の舌が入ってくるままにまかせ、そして自ら舌をからめた。

服を着たまま全身を愛撫されると、添島のテクニックによって文江にの最後に残っていた罪の意識も無くなったようだった。

添島が文江の服に手をかけると、自らすすんで裸になった。

「文江さん……」

「祐二くん……」
ふたりは全裸で抱き合い、またお互いの唇をむさぼり合った。

添島は急に文江の身体を離すと、ベッドのそばにあったロープをたぐりよせた。
4本のロープで、文江の4本の手足をそれぞれ縛り始める。

「祐二くん……!?」

文江の顔に、不安と恐怖の色が走った。

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