お客様N(6)|SMプロジェクト

成田は玲子を急いで呼び出し、流れている映像について尋ねた。

「こりゃ、なんちゅうもんよ」

「は、いわゆるSMと言われるものかと存じます」

「SMか。ありゃ叩いたり縛ったりするんじゃないんか」

「はい。私もくわしくは分かりませんが……こういうプレイもSMの一種だそうです」

「まあええわ。何にしてもこれを見て、わしの体が反応した。久しぶりに」
玲子は目を見開いた。

「は……! おめでとうございます」

「まだ大してめでとうはないわ。『半だち』にもなってない。しかしSMいうもんを、じかに見てみたい。お前ちょっと、計画立ててくれんか」

つまり、成田が別室で観賞するプレイをSMでさせてみたいということである。

こうして、成田信光の性機能を回復するための「SMプロジェクト」が始まった。

秘書の玲子が中心になり手配をするのだが、彼女も自分で言っていたようにSMにくわしいわけではない。ネットで調べたり、元AV男優の添島に意見を聞いたり、手探り状態だった。

数日後、玲子は計画を立案し、成田に以下のように報告した。

SMには大きく分けて、男S・女Mのパターンと女S・男Mのパターンがある。
その両方を、交互に成田に見せていく。

男Sは、元AV男優の添島が担当する。
彼は何度か、AVでサド男性役の経験があった。
女Sは東京から、プロの女王様を呼ぶことになった。
M側は男女とも、今までの「観察プレイ」同様に対象の素人を捜す。

それからSMグッズの発注。
身近にある物を使ってのSMプレイができないわけではないが、やはり専用のグッズを使う方がやりやすいようだ。

まず男S・女Mのプレイをおこなう予定だったが、そのためのグッズはすでにネットショップに発注した。
このプレイの当事者である添島に相談して、以下の品にした。

・虜X 目隠し 豹
・Teaser【Blue】ティーザー
・nemo-R (ネモ-R)

女S・男M用の品の注文は後回しにした。女王様が矢掛町に着いてから、相談して決めることにしたのである。

さてプロジェクトの、一回目のプレイが予定されている日になった。
相手が素人だけに、確実に実行できるとは限らない。
添島といえど、口説くことに失敗することの方が多いのである。

対象者がそろそろ成田邸に来る時間になった。

中山文江は、バイクに乗って山腹の成田家まで上がってきた。
龍王山のふもとにある、下高井村の住民である。

成田家では野菜を、下高井の農家の人に時々届けてもらっている。
それが一番新鮮な野菜を手に入れる方法なのだ。
手間賃をはずむので、農家は喜んで届けていた。
文江も農家の35歳の女房で、今日は配達の当番の日だった。

添島はこの日のために、布石を打っていた。
普段は料理人が野菜を受け取るのだが、今日までの3回ほど、文江の来る日だけ添島が対応していた。

添島は表向きには、邸宅の管理人ということになっている。
そして今日も、添島が文江を迎えて野菜を受け取った。
そこで第一段階の「誘惑」に成功すれば、例の「観察部屋」に来るはずである。

成田が別室で待っていると……来た。
先日女子大生とプレイした部屋に、添島と文江が入ってきた。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ