お客様N(5)|1年ぶりの感覚

成田は陰鬱な気持ちで、ソファに体を沈めた。今日も失敗だった。
それなりの性的興奮をし、夢中で女子大生の身体をまさぐったものの、勃起はしなかった。

「……一応DVDも用意してありますが、ご覧になりますか」

重い空気に耐えかねたように、秘書の玲子が言った。アダルトDVDのことだった。
様々なジャンルのアダルト映像を見ることで、何かが成田の中枢神経を刺激するかもしれない。
それを期待して、時々見ていた。

「いらんわ。あれが立たずに見るAVほどイライラするもんはない」

成田は機嫌が悪い。手を振り、玲子を下がらせようとした。
玲子は無言で頭を下げ、ドアの方に向かった。

「ああ待て。その辺に置いていけ」

玲子は手提げ袋からDVDを出してかたわらのワゴンの上に置き、もう一度頭を下げてから出て行った。

まだ日が高い時間だが、成田は仕事をする気にはなれなかった。
まず、このイライラを何とかする必要があった。

スポーツウエアに着替えると、邸内にあるジムに行った。
まずランニングマシンで、30分間かなりのスピードで走った。
それからベンチプレス始め各種機器を使い、強度の高い運動を次々とこなして筋肉をいじめていった。

数年前から運動を欠かしていないので、人並み以上に体力がある。
体は引き締まっている。
内臓にも一切問題がなく、更年期特有の体の衰えもほとんどなかった。

つまり、性機能以外は極めて健康だった。
この健康な体で女が抱けないのは、まさに悪夢だった。

次の日の朝。成田は朝食を食べながら、マーケットの状況と自分の会社の業績をチェックした。
それを見て、インターホンで別室にいる玲子にコールし、指示をする。

「岡山の佐藤な、今月中にあと3千万とれなかったらカド番だと言っておけ。何? 相撲のカド番だ。来月はクビを覚悟しろということだ。それから田中にな、ニッコー電子が2000円を割ったら一気に突っ込めと」

とりあえずやることが無くなった。
成田は棚からマッカランを出し、ちびちびと飲み始めた。

玲子が前日置いていったAVが目に入った。
4~5枚あるようだ。

脚フェチ、近親相姦、ロリコン、ぽっちゃり……
パッケージをざっと見て、そのうちの一つを適当にプレイヤーに入れた。

大画面にアダルト映像が映り始めたが、成田はそれを熱心に見るでもなく、時々市場のチェックをしたり、酒を飲んだりしているうちにうとうとしていた。

ふと目が覚めると、今まであまり見たことのない映像が映っていた。
「ああん、あん」とあえぎ声をあげているのは、床に仰向けになっている男の方だった。

その男の尻あたりに正常位のような格好で何をか突き立てているのはどう見ても女だが、女にペニスがあるはずがない。

ニューハーフだろうか……と、成田は思った。

開いているパッケージを見ると、「ペニバン女医の淫語アナルクリニック」と書いてある。
そうすると責めているのはやはり女か。
そして突き立てているのが「ペニバン」というものか……?

成田がこのAVに興味を持ったのは、成田の身体に今、一番求めていたことが発生したからだった。

静まりかえっていた陰茎に、少しずつ血が流れ込んでいた。
少なくとも成田には、そんな気がした。

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