5.新人面接

junkyoju0329帝都大学政治経済学部の鷹木ゼミは毎年、入会希望が多く
成績上位者のみが許される狭き門であった。

ゼミの指導教官は鷹木摩耶准教授だ。

彼女は若くして政府外郭団体にも席を置き、
TVの報道番組にも時折登場する。

そのモデル顔負けの美貌と鋭い国際情勢分析で人気も高い。

本日は4月からの新年度を控え、
その前に志望学生との個別面談が研究室で行われていた。

「失礼します」
会釈をして女子大生が入室してきた。

165センチのスラリとしたスタイル。
肩までの長さに揃えたふんわりとしたボブカットは染めていない黒髪で、
小さめの顔によく似合っている。

春らしい桜色のワンピースにグレーのカーディガン。
白のハイソックスとミディアムヒールの茶色いパンプスを履いている。

少女から大人に変化するそんな時期の可憐さと
美しさのバランスのとれた美少女と呼ぶのがふさわしいのだろう。

「藤咲彩花です。本日はご面接の機会をいただきましてありがとうございます」

丁寧にお辞儀をする彩花に隆治は着席をすすめた。
鷹木ゼミにおいても隆治は成績が最も優れていてゼミ長の座を確保している。

向き合って座った彩花は隆治に向かって輝くような笑顔を見せると、
「瀧澤先輩ですね。あの、同期の女子達、先輩の噂で持ちきりなんです。成績優秀で剣道部主将、しかもルックスが……」

「あなたはゼミにボーイフレンドを探しに来たの?」
麻耶は呆れたような顔で言うと、

「ち、ちがいます。私は先生に憧れてるんです。将来は国際ジャーナリストを目指しています。よろしくお願いします」と慌てて首を振りながら弁解を始める。

まだまだ気持ちは子供のままなのだろう。
気難しい摩耶も怒る気にもならないらしい。

ホッとしたような気分で頬を緩めた隆治を見た麻耶は
机の下で隆治の太腿を指先で強く弾く。

引き締まった表情に戻った隆治はゼミでの心得などを説明したのち、
今度は摩耶から国際政治学の専門的な質問を幾つか彩花に投げかける。

かなり専門的な問題にもそつない回答をした彩花は合格したらしい。

「よろしかったら、午後からのゼミにオブザーバー出席してみない?歓迎するわよ」

事実上の合格宣言に彩花は先ほどの笑顔を取り戻し、
感謝の言葉を繰り返し述べ、喜んで出席させていただきますと退出していった。

研究室に二人だけになった瞬間から摩耶の眼に研究者の光が消え、
氷の炎が燃え上がっていた。

「あの娘、私の玩具を奪うつもりなのかしら?どう?隆治の気持ちは?さっきはまんざらでもない顔をしていたけど」

摩耶は挑発するような眼で隆治を見た。

「私は摩耶様の下僕でいたいと思います!」
研究室でなければその場で土下座をする勢いで隆治は答えた。

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